旅の記録~2日目

旅の記録~2日目

マスヤののらさんが下諏訪の街についてレクチャーしてくれる。
お勧めのカフェ、老舗のお店、パン屋さん・・一日3食じゃ足りない。
のらさんがセレクトしているという、アートギャラリーのようなショップが、マスヤの一角にある。こうして作品が世に出回っていく仕掛けがあるのは、すごく素敵。イヤリングを購入した。

 

朝風呂に行き、諏訪大社へお参りに。神頼みは、ここ数年、し倒している。どうか、自分の生き方が定まりますように。わりとざっくり、お願いをする。

(ジブリの世界のような、菅野温泉)

「たるかわ」という朝早くからやっているパン屋さん。魔女の宅急便みたいな看板とは裏腹に、入ってみるとガンガンのロックがかかっていた。朝ごはんに、なすみそのピザとあんぱんを買う。

それから、今回の旅で訪れたかったヴァイオリン工房へ向かった。
チェロが好きだ。楽器そのもののフォルムや低い音、周りをひきたてたり調和したり、時にはソロで華やかにもなれる。渋谷ズンチャカ!でボランティアをしていて、楽器ができなくても楽しめるけれど、やっぱり楽器ができるとより楽しい、ということに気がついたから、去年ようやく習い始めた。

工房には男性が1人(佐井さん)。
そこは、日本ではない国のようで、不思議の国のアリスになったみたいな気分でとにかく目に入るものへの質問をぶつけていく。チェロの設計図、楽器の内部、イタリアの楽器職人の街、クレモナ・・知らないことばかり。感動する。



なぜ、この仕事を、諏訪で?と、聞かずにいられなかった。
「一度音楽を離れた時期があったけれど、シューベルトを聞いてプラスの感情だけでなく、負の感情の世界をもこんなに美しく豊かに感じさせることができるのが音楽、と気づかされた」「クラシックの音楽についてきちん勉強をしたくて、ダンテの”神曲”の勉強会に参加した。そのとき、マエストロ(楽器職人の師)に出会った」「諏訪という土地には交響楽団があり、豊かな音楽の土壌がある」

楽器を制作するという仕事、音楽、音楽に携わる人々や住まう地域の環境、佐井さんの想いが、点々としていた出会いや経験を線につなげた。揺るぎや迷いがあったことも含めて、尊敬の念を持たずにいられない。

職人さんになるには、色々方法はあるが、イタリアでは日本でいう高校にあたる専門学校に、17歳くらいの若者が通うのだとか。佐井さんは、日本の師の元修業をして、独立されたそう。土地を変えても続けられる仕事は貴重だ。でもそれ以上に、その仕事への愛着や、やり続ける意義などを持ち続けることが大事なのでは?と思い始めている。

チェロをつくる、という仕事に魅せられた私に、いつかクレルモの楽器職人の学校に通う日が来るかもしれない。まずは、チェロの魅力を引き出すような演奏が、早くできるようになりたい。

佐井さんが感動したという演奏者のCDを貸してくれた。「ゾルターン・コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ作品8」お返ししに、また来ますと約束する。いつか佐井さんに自分の楽器を発注できたら良いな。

 

それから、川沿いにある、火・木・土しか営業しないというパン屋さんへ。

 

とってもおいしいからと、マスヤのみなさんからお勧めされた。本当、とってもおいしかった。でも、なぜこの営業日だけなんだ?

 

それから、火曜日に開いているという陶器のお店へ。このお隣には、革製品のお店があって、そこは水曜日が開いているそう。

 

帰り道のバスの中。
この旅を思い出せるBGMがほしくて、仕事がらみで出会った曲で原田郁子さんの曲を勝手にテーマ曲に選定し、浸りながら帰った。